Translate

2016年11月29日火曜日

新宮下公園等整備事業に関わる都市計画(原案)に対して意見書を渋谷区に提出しました

新宮下公園等整備事業に関わる都市計画(原案)に対する意見書を渋谷区が募集していました(11月22日まで)。
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/news/oshirase/20161006miyashita.html

当会のメンバーは、以下、2通の意見書提出しました(氏名などは伏せました)
******
新宮下公園等整備事業に関わる都市計画原案に関する意見書

(意見の内容)
新宮下公園等整備事業は取りやめるべきであり、それを実現するための今回の都市計画原案を認めるべきではない。

(意見の理由)
A 宮下公園国家賠償裁判の判決が反映されていないこと
みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会は、2011年4月21日に渋谷区に対して国家賠償裁判を提訴しました。2015年3月13日東京地裁判決は<渋谷区立宮下公園ネーミングライツ基本協定>が地方自治法96条及び234条違反であるとしました。その内容は、1、同協定のネーミングライツが財産的価値のあるものである以上、渋谷区が負う当該義務が「負担」(地方自治法96条1項9号)に該当することは明らかであり、本件契約の締結は「負担付きの寄付又は贈与を受けること」に該当するから、議会による議決が必要にもかかわらず経ていないこと 2,同協定は、原則として競争入札で行うべきところ、随意契約の方法により締結されたものとして、地方自治法234条2項に違反していること、です(併せて、公園からの野宿者の排除の違法などにより賠償の支払いを命じました)。2015年9月17日東京高裁は、控訴の範囲に当たらないことから渋谷区による反論を斥けました。つまり、同協定が違法であるとする裁判所の判断は地裁判決以外に示されておらず、また渋谷区は最高裁への上告を断念しましたので、地裁(原審)の判断が確定したのは明らかです。
契約が違法である以上、現在の宮下公園は違法状態です。長谷部健区長は、「渋谷区は適正に地方自治法の手続きを進めたもの」(2015年10月26日付長谷部健区長、公開質問状への回答)と判決を無視した開き直りを行っています。
これらの判決を踏まえた対応を渋谷区が行っていない以上、新宮下公園は議論の俎上に乗せるべきものですらありません。

B 公園の価値を損なう事業であること
公園の基本的な価値は、24時間だれでも自由に利用できる空間であることである。とりわけ、渋谷という過密した商業都市にある宮下公園に求められるのは、お金のない者でも過ごす事ができる空間である。現在の<みやしたこうえん>はナイキジャパン社が施工し2011年4月に開園した際に、園内に有料のスケートボード場やクライミングウォールが作られ、2006年に作られたフットサル場と合わせて、公園の多くの部分が特定の利用者のための有料スペースになっている。そして、当初は18時30分から8時30分まで、現在は22時30分から8時30分まで公園を閉鎖している。このような現況がそもそも公園の価値を損なうものであるが、今回の新宮下公園はさらなる価値の毀損を行うものである。
公園の高さが約3倍になり地表からアクセスが悪くなり、公園の下に作られる商業施設及び公園に隣接するホテルの利用客が集うスペースに公園が変貌する。また、現在ある有料スポーツ施設が増設される可能性が高い(例・ジョーダンコート)。都市環境委員会においても<緑と水・公園課>(以下、公園課)は、商業施設からテイクアウトした商品を公園で食べるイメージやスポーツ施設で利用する商品を商業施設で購入するイメージを述べていた。しかし、デパートの屋上が誰でも出入り出来るといってもデパートのお客がほとんどであり、ホテルの前庭に入れたとしてもホテル客がほとんどであるように、宮下公園も心理的に入りづらいものになるのは容易に想像できる。公園課が、そのような状態を促進することを公園の売りにするようでは、間接的な排除であるといっても過言ではない。夜間施錠について未定と説明会で公園課が回答していたが、商業施設やホテルの管理や風紀を名目にして、三井不動産も渋谷区も夜間施錠を継続させようとするだろう。このようなスペースはほとんど公園と呼ぶことができない。

C 一民間企業への利益供与であること
三井不動産が3階建ての商業施設の上に公園をつくり、さらに渋谷区の土地(公園面積の10%程度)を三井不動産が取得してホテルという収益施設をつくる。三井不動産は、商業施設の賃貸料やホテルの宿泊料が企業利益になると考えて事業を進めているわけで、渋谷区による特定の民間企業への利益供与になる。

D 無責任で一貫性のない計画によるエネルギーや資材の無駄であること
宮下公園をナイキジャパン社が改修・新設し、ネーミングライツの対価として施工された公園施設を渋谷区に引き渡したのが2011年4月です。すでに、それ以前から公園課は耐震性に問題があることを認識し、それがゆえに宮下公園は一時避難場所に指定されていませんでした。また、2008年9月には渋谷駐車場の『耐震診断調査報告書(構造計算)』が行われており、耐震性の問題が改めて指摘されていました。それにもかかわらず、ナイキジャパン社と渋谷区は大規模な公園施設の改修・新設において、耐震補強を行いませんでした。それから、たったの3年少ししかたっていない2014年7月に新宮下公園等整備事業のプロポーザルを渋谷区が公募しました。そして、翌年2月には公園躯体を全壊させる三井不動産の計画を渋谷区は採用しました。この公園改修・新設は、多くの野宿者や利用者に苦痛を与えた計画でした。それが、たった数年で解体されることになれば、ナイキジャパン社と渋谷区による公園改修の必要性を渋谷区が否定する事態になります。しかも、それは多大の資源の無駄を意味します。区が行う事業として、ナイキジャパンとの協定書に基づく工事、今回予定されている三井不動産による工事は一貫性がかけた無責任きわまるものです。

E 立体都市公園制度の濫用であること
<新宮下公園>は都市公園法上の立体都市公園制度の利用を予定しているが、制度の趣旨を明らかに曲解しています。
立体都市公園制度の趣旨は「都市公園の下部空間に都市公園法の制限が及ばないことを可能にし、当該空間の利用の柔軟化を図る」(都市公園運用指針 国交省 以下「」内は同指針)です。しかし、2015年3月に廃案(継続審議)になった17階ホテル案は都市公園法の制限を公園の上部にも及ばなくさせてホテルを建設しようとする違法の可能性が高いものでした。
しかし、たとえホテルを公園敷地から外しても、3階立ての商業施設の上に公園を作ること自体が立体都市公園制度の趣旨に反しています。
なぜなら、この制度は「都市部において都市公園の用地取得に膨大な事業費を要することから、他の施設との立体的利用により都市公園を整備することが効率的な場合」に適用されることが望ましい、とされているからです。
つまり、公園を新設する際の苦肉の策として基本的に案出されたものです。
既存の都市公園に適用することも可能であるとしていますが「都市公園の機能・効用が低下するような場合には、立体都市公園制度を適用することは望ましくない」と厳しく制限しています。また、「既存の都市公園に立体都市公園制度を適用するのは、原則として既存都市公園の地下を利用しようとする場合になるもの」と示している。公園が建物の上になれば当然利用しにくくなるわけで、既存公園を立体公園にした例は今までに知られていません(注)。
立体都市公園は、都市の中に公園(オープンスペース)を増やす制度であって、公園敷地を利用して商業空間を作るためのものではありません。この整備事業案は、同制度の逆用であり悪用です。

注 国交省に問い合わせたところ、愛知県刈谷市にある野田公園が既存公園での立体都市公園制度を利用したとのことでした。
ただし、野田公園の場合は浸水対策の貯水施設を地下につくる際に、都市公園法上2ha未満の公園(野田公園1.5ha)には同施設は出来ないという制限があり、公園地下を公園から外すために立体都市公園制度を利用しているものです。

F 野宿者に対する排除が強く懸念されること
現在、宮下公園の周辺には小屋に住む野宿者、昼間に公園内のベンチで休む野宿者、周辺の路上に暮らす野宿者など大勢の野宿者がいます。小屋に住む野宿者については、2010年初頭に公園内に住む野宿者を追い出すことを目的に、渋谷区が自ら小屋を建設し移動を強制的に促しました。公園課は、これらの野宿者に対して<ハウジングファースト事業>で対応すると正式に述べていますが、同事業の現在確保しているのは8床のみであり、現在はほとんど空きがない状態です。説明会で、公園課は同事業は流動性があると説明しましたが、実際は事業者(NPO東京オレンヂ)が最大6ヶ月の利用期間を迎える人たちへの対処に苦慮しているという話であり、公園課の説明どおりに受け取れません。また、そもそも同事業は生活困窮者自立支援法による一時生活支援事業であるため、利用者に現金は支給されず(米・缶詰などの現物支給のみ)、利用できる野宿者は限られています。また、福祉施策の貧弱や現在のコミュニティのつながりの肯定的な気持ちなどにより生活保護を望まない人もいます。さらにいえば、前回、渋谷区が自ら用意した代替の小屋すら今回は存在していません。そのような中で、整備事業を理由に福祉施策を強要することは、直接的な排除に他ならず、絶対に許されるものではありません。

*****

「新宮下公園計画」に対する意見

 昨年、貴区は「宮下公園ナイキ化反対! 国家賠償請求訴訟」に敗訴しました。宮下公園は、違法な手続き、違法な契約のもとに建設された違法な公園である、と司法が判断したのです。貴区はこの判決を真しに受け止め、「新宮下公園計画」なるものを構想する以前に、宮下公園をすみやかに原状に復帰して公園の利用者に謝罪するべきです。手始めに、宮下公園を夜間も開放しなさい!
 またこのかん、宮下公園に野宿者を追い出すための貼り紙が掲げられ、フェンスまで設けられていますが、このような蛮行は許されません。貼り紙、フェンスを即刻撤去しなさい!
 なお、土木清掃部は、先月6日の「新宮下公園等整備事業に関わる都市計画素案意見交換会」の席で、いみじくも「ハウジングファースト事業」は宮下公園とその周辺からの野宿者追い出しの具である旨発言しました。である以上、私はこの事業に断固反対します。





2016年11月16日水曜日

物品を即刻、撤去・処分??

新宮下公園計画が来年2月の都市計画決定に向けて進んでいます。
そんな中、宮下公園の陸橋下に住んでいた方が入院したことを機に、11月11日、公園課が、付近約50メートルにわたりフェンスを張り巡らせました。そして、宮下公園の周囲10カ所以上にわたって「立入禁止」「警告 公園内に物品を放置しては、いけません。物品が放置されている場合は、即刻、撤去・処分します」(渋谷区緑と水・公園課)との貼り紙をしました。公園課は新宮下公園事業において「現時点では強制排除は考えていません」と言っていますが、実質的には排除が始まっています。
また、所有物を即刻撤去・処分するのは法的にも問題があることは再三にわたり渋谷区に伝えてきたことです。
フェンス・貼り紙の撤去を求めます。