2000年7月29日土曜日

共同声明

「宮下NIKEパーク」の命名権契約と
改造工事の撤回を求める共同声明


2009年8月27日、渋谷区長とナイキジャパン社長の間で区立宮下公園を「宮下NIKEパーク」とする命名権売却の調印式が非公開で行われ、 9月1日には渋谷区報に完成予想図が掲載されました。工事期間は9月~2010年4月とされ、十分な説明がなされないまま、公園の作り替えが行われようと しています。私たちは、この計画に関して主に4つの理由から撤回を求めます。

(1)宮下公園の公共的な価値を奪う計画内容
今回の改造工事では公園内に新たに有料のスケートボード・ロッククライ ミングなどの施設を設け、公園名が「宮下NIKEパーク」に変わります。すでにできているフットサルコートを含めると、公園の大部分をナイキ商品販促のた めの施設が占めることになり、実質的に利用者はスポーツ施設に関心のある人、つまりナイキジャパン社の潜在的顧客に限られます。本来、多面的な機能をもち 老若男女が消費せずに憩える「公」園の価値が奪われ、商売を優先する一企業の意のままに変質されてしまいます。

(2)民主主義的な手続きを無視したずさんなプロセス
この計画は単なる命 名権契約の範囲を大きく逸脱し、公園の中身の改造にも踏み込んだものです。にもかかわらず、渋谷区政はこの1年間、基本プランの公開を行なわず、市民から の意見の募集もせず、驚くべきことに区議会での議決すら経ずに区長と一部の議員のトップダウンで計画を実行に移しました。公募や競争入札が行われておら ず、数ある企業の中からナイキジャパン社が選ばれた経緯についても情報の公開を拒んでいます。

(3)野宿を強いられる人々の追い出し
現在、宮下公園で野宿を強いられて いる約30名は、ナイキ化工事を理由に住まいを奪われようとしています。ナイキジャパン社・渋谷区とも、これらの問題について十分な説明や対応策を提示し ておらず、当事者は不安を感じています。
昨年以降の世界的な経済危機のもと、仕事・住まいを失う人々が大量に生み出されており、東京都下の炊き出 しには、前年を大きく越える数の人々が集まっています。行政窓口はこの事態に対応できていないにもかかわらず、都内各地で炊き出しをつぶし、同じ渋谷区で は区役所駐車場で夜を過ごす約40名を10月にも締め出す計画が進められています。このような状況のもとで宮下公園を含めた公共空間は、経済的・社会的な 排除を受ける流動的貧困層の避難場所としての機能を実質的に果たしています。公園から野宿者を追い出すことは、直面する当事者の問題だけにとどまらず、仕 事・住まいを失ったすべての人々の生命を著しく危険にさらす行為です。

(4)グローバリゼーションの典型としてのナイキ化計画
いま、ナイキジャパン社が宮下公園で行っているのは、公園の 社会的、地域的、倫理的な次元を無視し、公共空間を、制限なく商品を販売するための場として意のままにすることです。規制緩和のなかで、議会での議論や情 報公開などの正当な手続きが省略され、貧者の排除が強行されます。この、地球のすべての空間を市場原理に従わせ、あらゆる活動を市場と商品に変換しようと いう動きは、宮下公園だけでなく日本や世界各地で進行しています。一握りの多国籍企業による社会全体の再編であるグローバリゼーションの進行、このような 動きに私たちは反対します。